牧師の週報コラム

日本文化のキリスト教

昔、フィンランドの宣教師(故人)が大切にしていた日本の教会の信徒たちの短歌集を見せてもらったことがある。今でも一つの句を覚えている。

「礼拝の/恵みの手段に/与れし/祝福さやに/お茶会楽し」

時は戦前、場所は北海道。季節は不明だが、夏でなければ木造教会の石炭ストーブの音と湯気の情景が浮かぶ。礼拝の「恵みの手段」とはルター派なら御言葉と聖餐式のこと。牧師を通して祝福を受けた後の集会室でのお茶がなんと恵み深い味わいか。時代は暗雲立ち込めても、教会はともし火を絶やさない。

言葉数少なくともこんなに多くを語るとは、なるほど5、7、5は日本人にとって共感の道具であり武器でもある。ならば私も(中学の国語の授業以来の挑戦です)。

「涙もて/種を播くとも/刈り入れは/喜び溢れ/神は計らう」

ここ2週間ほど何故か頭を離れない詩篇126篇が元。キリスト信仰者は神が逆境を祝福に転じられることを、神自身の約束や(エレミヤ29章11節等々、フィリピ1章6節も)自分の経験と信仰の兄弟姉妹たちの証しから知っている(ヘブライ11章も証言集として有用)。しかし、信頼の大元にあるのはなんと言っても、アダムの堕罪をキリストによって逆転させた神の大業(ローマ5章)。アダムは楽園を去り労苦を持って耕さなければならなくなったが(創世記3章)、キリストは信仰者を豊かに実を結ぶ者に変えて下さった(ヨハネ15章等々、ガラテア5章22~23節も)。

もう一つお許しを。先日フェイスブックで初雪の八ヶ岳の写真を見て思い出したこと。以前、宣教師会議を清泉寮で行った時、自由時間にみんなで晩秋の森の小径を歩いた。なんだかフィンランドにいるみたい、と口々に皆はしゃぎ気味。話が弾み当てずっぽうに歩き続けると、突然前方が開け初雪を冠した急峻な峰々が。今いるところは母国ではないと思い知らされる瞬間。復路は口数少なく宿に戻った。そんな彼らの心情を代弁しての一句。

「清里の/行方知らずの/落ち葉道/森の故国に/山並みはなく」

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