スオミ教会・家庭料理クラブの報告

本年最後の家庭料理クラブは12月9日に開催しました。季節は冬なのに、この日は暖かくまだ紅葉もきれいで秋のような天候でした。今回はフィンランドの伝統的なクリスマスのパンJoululimppuとクリスマスのデザートLuumurahka を作りました。

料理クラブはいつもお祈りをしてスタートします。まず、クリスマスのパンの生地を作ります。材料を測って、生地に入れるスパイスのフェンネル・シードを細かくして順番にボールに入れていきます。ライ麦と小麦粉を加え生地をよく捏ねて出来上がりです。暖かい場所において一回目の発酵をさせます。今回は発酵が早くて生地はあっという間に大きく膨らみました。それから早速パン作りに入ります。生地を3つに分けて丸め、きれいなパンの形にします。参加者一人ひとりが作ったパンはあっという間に鉄板の上に並べられました。そこで二回目の発酵をさせます。

パン生地を発酵させている間にデザートの準備をします。その途中でパンが十分に膨らんだのでオーブンに入れて焼くことにしました。デザートは、水を切ったヨーグルトにプルーン・ジャムを混ぜ、それにホイップした生クリームを加えると、スポンジ状のデザートが出来上がります。

パンの方は焼き色がつきました。焼いている途中で水とシロップを塗ったので表面がピカピカし出しました。それを見た皆さんは、どんな味がするんだろう、早く食べてみたいなどと興味津々。今回はフィンランドのクリスマス・ホットドリンク「Glögi」も用意して温めたので、クリスマスの香りが台所から一気に教会中に広がりました。

テーブルのセッティングをして皆さん席に着き、いよいよ焼き立てのJoululimppuを味わいます。今回はスライスしたパンの上にマーガリンとディルと塩付けのサーモンGraavilohiをのせて頂きました。Luumurahka とGlögiも一緒に味わうと、フィンランドのクリスマスの味がする!という声も。歓談の一時の後で、フィンランドのクリスマスについてや、聖書に書かれている世界最初のクリスマスの出来事についてのお話を聞きました。

今回の料理クラブでは参加者の皆さんと一緒にクリスマスの喜びを分かち合うことが出来たと思います。とても感謝しています。次回の料理クラブは、年明けの1月はお休みですが、2月から再開する予定です。詳しくは教会のホームページの案内をご覧ください。皆さんのご参加をお待ちしています。

2023年12月9日料理クラブの話「クリスマス料理」

今日は皆さんと一緒にフィンランドのクリスマス・パン「Joululimppu」とクリスマスのデザート「Luumurahka」を作りました。Joululimppuはフィンランドの伝統的なクリスマスのパンで、私の祖母も母も毎年クリスマスの季節に作っていました。フィンランドのクリスマスの食卓にはいろんな種類の料理を作りますが、それでも、もしJoululimppuがなかったら何か足りない感じがします。フィンランド人はクリスマスのお祝いのためにいろいろなお菓子や料理を作ります。一番初めにクッキーやケーキを作って、Joululimppuは最後にクリスマスの少し前に作ります。パンは出来たてが一番美味しいからです。Luumurahkaは伝統的なクリスマスのデザートではありませんが、プラーンで作った別のデザートは昔から作られました。今はLuumurahkaのように簡単に作れるものが多くなりました。

クリスマスはフィンランド人にとって一年の中で最も大事なお祝いです。クリスマスの前の四週間はアドベント、日本語で待降節と言います。明日は待降節の第二の日曜日です。フィンランドではアドベントに入ると、多くの人たちはクリスマスの準備で忙しくなります。フィンランド人はアドベントとクリスマスをどのように過ごすか、これから写真を見ながらフィンランド人の過ごし方についてお話をしたいと思います。

フィンランドではクリスマスは家族が中心のお祝いです。毎年準備もお祝いも同じように家族一緒に行います。料理やお菓子の準備も、大掃除も飾り付けも、クリスマスカードやプレゼントの準備も、教会の礼拝に行くのも家族一緒です。教会から帰って家族みんなでクリスマスの食事を頂き、プレゼントを渡します。しかし、家族中心のお祝いのクリスマスに時々何か予想外のことも起こります。私はフィンランドでそのようなクリスマスを何回も経験したことがあります。

子供の時、次のような不思議な体験をしました。私の実家は田舎の奥深い森を切り開いたところにある酪農家でした。あるクリスマスイブの前の日のこと、全然知らない旅人が突然訪れて泊めてほしいとお願いしたのです。私の父と母は少し困ってしまいました。これから家族のクリスマスのお祝いをしようと準備をしてきたのに、全然知らない人を家に入れるのは難しく感じられました。泊めても大丈夫かという心配もありました。でも外は暗く雪が積もってとても寒く、泊めてあげないのは可哀そうでした。結局泊めてあげることにし、準備していたクリスマスの料理も出してあげて、少し早くクリスマスの雰囲気を分かち合いました。翌日その人は出発しました。両親も子供たちも、最初は抵抗感があったのですが、泊めてあげてよかったと思いました。あとでこのことを思い出すと、最初のクリスマスの夜のベツレヘムの羊飼いのことを考えるようになりました。

世界で一番最初のクリスマスにどんなことが起きたでしょうか?その夜ベツレヘムの馬小屋で神さまの独り子イエス様がお生まれになりました。その同じ夜ベツレヘムの町の郊外の野原で羊飼いたちが羊の番をしていました。その時突然天使が現れて言いました。「恐がらなくてもよい。今夜ベツレヘムで救い主がお生まれになりました。」当時羊飼いは社会の中でとても低く見られた職業でした。このような社会の低い層の人たち、恵まれない人たちに天使が現れて救い主の誕生を知らせたのです。ここにはとても深い意味があります。それは、イエス様は本当に位の高い人、低い人を区別することなく、全ての人々のためにお生まれになったということです。このことをはっきり示すために、神様は羊飼いを選んで一番最初に知らせたのでした。このように神様の優先順位は人間の考え方とは違い、低く見なされる人たちの方を選ばれるのです。そして神様は、そのような人たちこそ天使のメッセージを素直に受け入れると知っていたのでした。

羊飼いたちは天使から告げられたことを大勢の人々に伝えて分かち合いました。それで私は、クリスマスの時に実家に見知らぬ旅人を泊めてあげたことはクリスマスの豊かな喜びを分かち合う体験だったと思います。神様はこのことを忘れないようにとその旅人を送ったのだと思うようになりました。

クリスマスを毎年同じようにお祝いできることは感謝すべきことです。しかし、一番大事なことは、初めてのクリスマスの夜に何が起こったかを忘れないことです。救い主が私たちのために人としてお生まれになったということが本当の喜びです。その喜びを羊飼いたちのように他の人たちと分かち合うことができれば、喜びは小さくとどまらず、もっと大きなものになります。今年のクリスマスの季節、私たちもクリスマスの本当の喜びを忘れないように過ごしましょう。

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