牧師の週報コラム 

ルターの聖句の説き明かし(フィンランドの聖書日課 「神の子らへのマンナ」4月29日の日課

日本語で死期が近い状態を言い表す時、少し無作法な言い方ですが、「片足を棺桶に突っ込んでいる」などと言います。 宗教改革のルターは、キリスト信仰者とは左手をこの世に引っかけて右手は次に来る世に引っかけて生きる者だと言います。それは、片足を棺桶に突っ込んでいるようなレームダック(死に体)の状態なのでしょうか?いいえ、キリスト信仰では事情は全く逆であることを、ルターが次のように説き明かしています。

「放縦や深酒や生活の煩いで、心が鈍くならないように注意しなさい。さもないと、その日が不意に罠のようにあなたがたを襲うことになる。」(ルカ21章34節)

『これは、まことになくてはならない警告だ。我々は決して忘れてはならない。もちろん、主は飲み食いすることを禁じたりはしない。主は言われるだろう、「飲むがよい、食べるがよい。神はそれをお前たちにお許しになる。生活の糧を得るためにあくせくせよ。しかし、だからと言って、それらのことがお前たちの心を支配してしまって私の再臨に思いを馳せなくなってしまうようなことがあってはならない。」

 我々キリスト信仰者は人生の目的を永遠的でないこの世的なことに定めてしまうのは相応しいことではない。我々は自分自身の半分、つまり左手をもってこの世の人生を生きるべきだ。もう半分、つまり右手をもって主の再臨を心から待ち望むべきだ。その日、主はあらゆる王を超えた陛下の威厳と栄光を伴ってて再臨される。

 今ある天と地が終わりを告げる日まで、人は家を建て結婚式の祝宴を催し屈託のない日々を送っている。他には心に留めることは何もないかのように。しかし、主は言われる、「汝ら、キリスト信仰者として生きる者よ、今の世に終わりがあることを忘れるな。神を畏れかしこむ心を持って生き、神の前に立たされる日には大丈夫、私を救い主と信じているからやましいことはないと言い聞かせられる良心を保て。そうすれば、その日は何も心配はない。」

 我々はその日をいつどこで迎えることになろうとも、その日は我々にしてみればまことに幸いな日なのである。なぜなら、神を畏れかしこむ心を持ってその日を迎える我々は、まさにイエス様を救い主と信じる信仰がもたらしてくれた神の守りに包まれてその日を迎えられるからである。』

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