宣教師の週報コラム 祈りの試練の現在

フィンランドの信仰ある人たちの祈りは、他の人のために祈るということだけでなく、 もし自分に何かあれば祈りの課題を他の人に伝えるということを当たり前のようにします。牧師にだけでなく信徒同士でそうするのです。課題を伝えられた人は、信頼の表れとして感謝して受け取ります。伝える人も相手に負担にならないように細かな状況説明はせず簡潔に課題を伝えることが普通と思います。受け取る側も簡潔さの中に大きな真実があるとくみ取って全ては父なるみ神がご存じであることでよしとして立ち入らず、神のみ前にヘリ下って祈りにまい進します。

課題を伝える人が祈る前に詳細を知ってほしいという場合もあります。その時は「魂ケア」の出番となります(「魂ケア」については9月25日付け週報コラムをご覧ください)。

最近スオミ教会の中で、生活にいろいろ困難が生じて礼拝にも集えない状態になったにもかかわらず、祈りの課題をあえて託さないということが一度ならずありました。いろいろ考えさせられました。一つには、キリスト信仰者が「お祈りします」と言うのと日本語の挨拶言葉「~をお祈り申し上げます」の区別がまだ出来ていないことがあるのではと思いました。日本語の挨拶は言う人の願いの表明で、言う人と言われる人の間の事柄に留まります。キリスト信仰の祈りは、「父なるみ神には、私の方からもお伝えし解決をお願いしておきます」という、神へのへりくだった取り次ぎです。自分で解決するから構わないでという態度は、神へのへりくだりがまだ身についていないことの表れではないかと思います。

もう一つには、コロナ禍で礼拝をオンライン化したため、教会に来なくとも礼拝をフォロー視聴できるようになったことも影響していると思います。人と直接顔を会わせず声も聞かないでいると、自分がイエス様を頭とする体の中の部分(他より優れているところがあるかもしれないが実は劣っているところもある)であることの実感が薄れていくのではないかと危惧しています。

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