宣教師の週報コラム 魂ケア

 教会員の皆さん、「魂ケア」にどうぞ

 フィンランドの大学の神学部には「魂ケア」という科目があります。 何を学ぶかと言うと、悩み事その他なにか心に引っかかるものがあって一人ではなかなか平安を得られなくなってしまった人の話し相手や聞き役になって一緒に解決の糸口を見つけるということです。牧師が授業を担当し、学生同士で事例について話し合い、最後は病院に派遣されて実習をします。

これを聞くと、それは日本の神学校で行われてる「臨床牧会教育(CPE)」や「牧会カウンセリング」のことではないか、と思われるでしょう。授業には、「悲しみと向き合う作業」という課題もあり、これなども近年日本でもよく耳にする「グリーフ・ケア」のことでしょう。

私個人としては、「臨床」とか「カウンセリング」と聞くと、専門医学的な感じがして身構えてしまうのでフィンランド的に「魂ケア」の方がしっくりします。それに加えて、コンテクストの違いもあります。フィンランドでは国民の大多数はルター派国教会の会員なので話をする相手は間違いなくキリスト信仰者ということになります。それなので「魂ケア」は、話す側も聞く側もルター派のキリスト信仰の枠組みの中にいて共通の言語を用いることが出来るということがあると思います。ところが、日本ではキリスト信仰者は全人口の1%という圧倒的少数派な上、教派も様々です。「枠組み」とか「言語」においてフィンランドとは比べものにならない難しさがあると思います。それで日本では、「臨床」とか「カウンセリング」という学術専門的な言い方が相応しくなるのかもしれません。

そうは言っても、フィンランド社会もこの2030年の間に大変貌を遂げました。私が神学部で勉強していた2000年代初めは国教会所属率はまだ80%台、「魂ケア」の教科書も所属率が90%以上の頃に書かれたものでした。今では所属率は60%台、ヘルシンキ首都圏では50パーセント台です。きっと、「魂ケア」の科目も変貌したと思います。

とは言っても、教会員の皆さんは同じ枠組み、共通の言語を手にした方たちです。それらを活用し鍛えない手はありません。是非「魂ケア」にどうぞ!(ヨシムラ)

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