宣教師の週報コラム

「贖い」と「償い」の違いについて

キリスト信仰にとって大事な言葉「贖い」と「償い」は似ているようで意味が違います。 両者を混同すると、朝に「おやすみ」、夜に「おはよう」と言うのと同じ間違いをすることになりますので、キリスト信仰者は意識して使い分けできるようにしましょう。

「償い」とは罪を償うことです。社会生活や人関関係で罪や過失を犯したら、賠償したり刑罰を受けることが償うことになります。殺すな、姦淫するな等々神の掟を行動や心で破って神に対して罪を犯した場合の償いは神罰を受けることになります。キリスト信仰では、人間が神罰を受けないで済むようにと神のひとり子が自分で人間の罪を引き取って十字架の上で神罰を受けられました。イエス様が人間の罪を人間に代わって償って下さったのです。

「贖い」はとてもわかりにくい言葉です。フィンランド語やスウェーデン語や英語では「買い取る、買い戻す」という言葉が用いられます。日本語のように敢えてわかりにくい物々しい言葉を充てることはしないのです。それでは、何を「買い取る、買い戻す」のか?人間です。罪の言いなりになって心も体も罪に支配されている人間を神のもとに買い戻すということです。その時に支払われた代価が、神のひとり子が十字架の上で流した血だったのです。

そういう訳で、「償う」のは罪、「贖う」のは人間ということになります。

時々「罪の贖い」という言い方を耳にします。それは「罪からの人間の贖い」を縮めて言っているのだなと理解してあげれば済むことかもしれませんが、紛らわしいです。すっきりさせるためにも罪は「償い」に結びつけた方がよいでしょう。フィンランド人やスウェーデン人や英語圏の人と信仰の話をする時に、「罪を贖う」という日本語をそのまま直訳して話したら混乱します。父なるみ神がひとり子を犠牲にしてまでご自分のもとに買い戻したいのは人間であって罪ではないからです。

新規の投稿
  • 2025年11月9日(日)聖霊降臨後第22主日 礼拝 説教 吉村博明 牧師
    主日礼拝説教 2025年11月9日(聖霊降臨後第22主日)スオミ教会 ヨブ19章23-27a節 第二テサロニケ2章1-5、13-17節 ルカ20章27-38節 説教題 「神は死んだ者の神ではなく、生きる者の神である。」 私たちの父なる神と主イエス・キリストから恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 アーメン わたしたちの主イエス・キリストにあって兄弟姉妹でおられる皆様 1.はじめに […もっと見る]
  • スオミ教会・フィンランド家庭料理クラブのご案内
    次回の料理クラブは11月15日(土)13時の開催です。 フィンランド的なパン「サンピュラ」を作ります。今回はオートミールをたっぷり含み、白ゴマ黒ゴマでトッピングしたオートミール・セサミ・サンピュラです。オートミールもセサミも栄養素が豊富なのでフィンランドでは健康的な食卓パンに数えられます。パンはふっくらとしていて、バターやマーガリンだけでも香ばしく美味しく頂けます。もちろん、ハムやチーズを挟んでサンドイッチにも最適です! […もっと見る]
  • スオミ教会チャーチカフェ 2025年11月29日(土)11:00~16:00
  • 牧師の週報コラム
    ルターによる御言葉の説き明かし ― フィンランドの聖書日課「神の子らへのマンナ」11月4日の日課から これぞ、ルターの神学の神髄、「イエス様と人間の幸いなる交換取引」なり! 「キリストは、わたしたちのために呪いとなって、わたしたちを律法の呪いから贖い出してくださいました。」(ガラテア3章13節) […もっと見る]
  • クロステージ手芸クラブの報告
    10月の手芸クラブは29日に開催しました。少し肌寒い午前でしたが、午後からは太陽が輝く秋晴れの天候に変わりました。 […もっと見る]
  • 歳時記
    蜘蛛、雲、Kumo <14 その頼むところは断たれ、/その寄るところは、くもの巣のようだ。 15 その家によりかかろうとすれば、家は立たず、/それにすがろうとしても、それは耐えない。 ヨブ記8:14・15> […もっと見る]