牧師の週報コラム 

「しなければならないことをしただけです」

最近あまり耳にしなくなった言葉だが、「男女共同参画」に関する新聞のコラムでの話。ある共働きの夫婦、夫は家事を怠ける人ではないのだが、妻としては何かしっくりいかない。 なんだろう。それがわける出来事が起きた。妻が家事に追われている時、夫はソファーに座って新聞を読んでいる。妻は「ちょっと、私一人だけにさせないでよ」、それに対して夫は新聞に目を落としたまま、「何をしてほしいか言ってくれたら、手伝うよ」。それで妻は切れてしまったと。

これは私にも身に覚えのある話。読んで身につまされる思いがした。一人暮らしが長かったので炊事洗濯掃除はちゃんと身についていると自負していたのだが、結婚するや、父親が会社員、母親が専業主婦という過去の面影が息を吹き返してしまったのだろう、「言ってくれたら手伝うよ」を口にしてしまったのだ。相手はそういう昭和のコンテキストとは全く無縁。怒りに当惑が混ざったのも無理はない。家事育児は夫婦の共同事項という本当の意味は、極端に言えば、何かやり残していることはないか、それを先を競うようにして見つけ、見つけ次第さっさと率先して片づけてしまうということだったのだ。ソファーに座るのが許されるのは、「何かやり残していること」がない時なのだ。「言われて手伝う」というのは、まだ共同参画でも何でもないのだ。

これは教会も同じ。かつて講壇交換で他教会に赴くと、ある教会では大学の元理事長も週報を折ってハト箱に入れている、別の教会では著名な弁護士が壁のポスターで古くなったものを外して新しいものに貼り換えている、さらに別の教会では、某大国の大使も務められた元外交官が受付に立ち、来訪者一人一人に挨拶をして聖書と讃美歌集を手渡している。男だろうが女だろうが社会的に高い地位だろうがなんだろうが全く関係ない。みんなが、『わたしどもは取るに足らない僕です。しなければならないことをしただけです』(ルカ1710節)でなければならないのだ。

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