牧師の週報コラム

フィンランドの幸福度とルター派キリスト教の関連性?

国連が毎年発表している「世界幸福度ランキング」で今年もフィンランドが1位になった。7年連続だそうだ。何を基準に幸福度を決めるのかというと、1人当たりのGDP、社会福祉、健康寿命、自由、寛容度、腐敗に対する認識の6項目についての評価だそうで、これらを基にした幸福度はフィンランドだけでなく北欧諸国が軒並み高い(デンマーク2位、アイスランド3位、スウェーデン4位、ノルウェー7位、日本は51位)。

北欧諸国と言えば、宗教は伝統的にルター派のキリスト教が主流である。それでか、北欧諸国の幸福さとか先進性とルター派には何か関連性があるのか、ルター派には国民を幸せに先進的にする要因があるのか、というような質問を時たま受けることがある。

それに対する私の答えは、物事はそんなに単純なものではないということである。まず各国のルター派教会の所属率だが、この30年位の間に急激に低下した。1980年代まではどこの国も国民の90%以上がルター派の国教会ないし中央教会に所属していた。ところが、昨年の統計ではスウェーデンは52%、フィンランドは62%まで低下。国内分布でも、ヘルシンキ首都圏では50%を切っている。ここまで落ちたら、法制度上特別な地位を持つ「国教会」の存在理由はあるのだろうか?(スウェーデンのは2000年に国教会をやめて一宗教団体になった。)

それから、フィンランドの話だが、国教会に属する人たちに、どのように信じていますかと聞くと、大半は教会が教えるようには(つまりルター派の信条集に基づいて)信じない、自分の信じたいように信じるという答えが返って来る。SLEYをはじめとする国教会のミッション団体の教会から一歩外に出れば、周りの普通の教会はそういう風潮に呑み込まれてしまって、ルター派の信条集どころか真に聖書に基づいて教えるところは少なくなってしまったと思う。国教会に属しているからと言って、聖書的、ルター派的とは限らないのだ。

他にもいろいろあるが、私の結論は、30年位前だったら国民の幸せ度や先進性の要因をルター派に探し求めても良かったかもしれないが、国民の教会離れ聖書離れがここまで進んだら、別の視点で考える必要があるだろうというものだ。

DSC_3767

新規の投稿
  • 2024年4月28日(日)復活節第五主日 主日礼拝
    司式・説教 吉村博明 牧師 聖書日課 使徒言行録8章26~40節、第一ヨハネ4章7~21節、ヨハネ15章1~8節 説教題 「神の意思 ― 他人事か自分事か?」 讃美歌 231、121、335、471 特別の祈り 全知全能の父なるみ神よ。 […もっと見る]
  • スオミ教会・フィンランド家庭料理クラブのご案内
    次回の家庭料理クラブは5月11日(土)13時に開催します。 春から初夏にかけてフィンランドはお祝いの季節になります。 […もっと見る]
  • 歳時記
    シャガ 数年前から建物のアプローチにシャガが咲き出しました。年毎に咲く位置を変えていましたがどうやら今の所に落ち着いたようです。 […もっと見る]
  • 牧師の週報コラム
    遠藤周作「沈黙」から帚木蓬生「守教」へ (先週の週報コラムで和辻哲郎の「鎖国」と渡辺京二の「バテレンの世紀」について書いたら、礼拝後のコーヒータイムの席で遠藤周作の「沈黙」が話題になりました。それで今回はその時の話の続きとして) […もっと見る]
  • 手芸クラブの報告
    4月の手芸クラブは24日に開催しました。朝から雨がしとしと降り少し涼しい日になりましたが、季節はまだ新緑がきれいな春です。 […もっと見る]
  • スオミ教会・家庭料理クラブの報告
    4月の料理クラブは桜もそろそろ終わり始めの13日、爽やかな春の陽気の中で開催しました。今回はこの季節にピッタリのフィンランドのコーヒーブレッド、アウリンコ・プッラを作りました。 料理クラブはいつもお祈りをしてスタートします。 […もっと見る]