牧師の週報コラム 

 無神論者とキリスト教徒が一致するところ

以下の文章は、トム・ホランド Tom Hollandという英国の無神論者の歴史家がキリスト教について論評したものを、ステフェン・ジェフコ―ト Stephen Jeffcoatという米国の牧師が引用したものです(同牧師の2021年6月18日付のFacebook投稿から)。因みに、欧米で「無神論者」と言ったら、たいていはキリスト教を標的にする人たちのことです。

『あなたがキリスト教に賛同しようがしまいが、無神論者の歴史家ホランドが次のような興味深い論評をしているのです。彼は古代世界を研究して、あることに気づいたと記しています。それは、古代人はただ単に残酷なだけで、彼らの価値観は自分にとって全く異質なものだということでした。スパルタ人にとって”不完全な”子供の始末は日常のことだったし、奴隷の身体は権力を持つ者たちの肉体的な快楽のアウトレットのように扱われていた、嬰児殺しは広く行われていた慣行で、貧しい者、弱い者には何の権利もなかったと。

 我々はどのようにしてそのような世界から脱することができたのか?キリスト教があったからだ、とホランドは書いています。キリスト教は男たちに自身をコントロールすることを要求し、あらゆる形態の強制性交を禁止して、性と結婚に革命を起こしたのだと。キリスト教が人間の性的営みを一夫一婦制の中に封じ込めたのだと。そして、ホランドも指摘しているように、皮肉なことは、今日キリスト教が嘲笑を浴びる原因になっているのが、他でもないこれらのスタンダードであるということ。しかし、いずれにしても、キリスト教が女性の価値を高めたことは否定できない事実である。簡単に言えば、キリスト教は世界をすっかり変えてしまったのだと。(了)』

同じような結論は、フィンランドの聖書学者エルッキ・コスケンニエミ Erkki Koskenniemiの研究書「古典時代ギリシャ・ローマ世界の嬰児遺棄の慣習に対するユダヤ・キリスト教の戦い」にも見られます。コスケンニエミはキリスト教徒。無神論者とキリスト教徒が同じ結論に達する位、キリスト教は古代世界の性モラルを根底から変えたのでした。

 

スオミ教会のシンボル - 白樺の十字架
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