宣教師の週報コラム - 使徒的伝統に立って福音書を繙こう(補足)

(「その3」で終わるつもりでしたが補足します。) 前回、時限的・限定的でないイエス像、死の力に打ち勝つ真の聖書的なイエス様に出会えるためには、「使徒の教え」に習熟しながら福音書を繙くことが必要であると申し上げました。この方針にピッタリな新約聖書の読み方を考えました。それは、最初に使徒書簡集を読んでから4つの福音書を読むという順番です。

この順番に多くの人は違和感を覚えるかもしれません。というのは、歴史の順序から見れば、最初にイエス様の出来事があって、その後に使徒たちが教え書いたのだから、最初に福音書を読んでから使徒書簡集を読むのが自然に感じられるからです。しかし、福音書を書いた人たち(完成させた人たち)は皆、使徒の教えを受け入れて、イエス様についての歴史を書いたのだから、福音書の中のイエス様を理解しようとしたら「使徒の教え」を知らなければ出来ません。考えてみれば、使徒たちが伝道してキリスト信仰者になった人たちは、まだ福音書がない状態で、イエス様についての断片的な証言・記録と「使徒の教え」が決め手だったのです。「使徒の教え」がキリスト信仰にとってどれだけ重要だったかがわかります。(注意 私の議論は、福音書は西暦70年以後の完成品、使徒書簡の大半は70年以前の執筆品という釈義学の定説に基づいています。もちろん、福音書も70年以前に完成していたという説もあります。スウェーデン・ルンド大学の教授B.イェルハルズソンは1961年の博士論文で、福音書は速記者が書いたようにほとんどその場で出来たというような説を発表して当時の世界の釈義学会に衝撃をもたらしました。しかし、程なくして注目されなくなり、釈義学会は再び従来の定説で動くようになりました。)

「使徒の教え」は、使徒言行録の中にも沢山あります。西暦70年後の作というバイアスがありますが、使徒書簡の多くがどのような背景で書かれたかわかる大事な資料です。それで、まず使徒言行録から始めて、使徒書簡集を読みます。そこで、「使徒の教え」とは本質的に、イエス様の出来事を通して旧約聖書を理解したことがその主たる内容です。なので、出来れば、旧約聖書の引用に出くわしたら、その都度、旧約聖書の引用元も確認する。そうして使徒書簡集が終わったら福音書に入り、最後に黙示録。その場合も、出来れば旧約聖書の引用元を確認しながらです(引用箇所と引用元が異なることが多々ありますが、最初はあまり深入りせず)。

まだ考えついていないのは福音書の順番です。それと、旧約聖書をキリストに出会えるような繙き方で読む順番です。何かいい提案がありますか?

新規の投稿
  • 2025年12月14日(日)待降節第三主日 礼拝 説教 吉村博明 牧師
    主日礼拝説教 2025年12月14日 待降節第三主日 スオミ教会 イザヤ35章1~10節 ヤコブ5章7~10節 マタイ11章2~11節 説教題 「荒野のようなこの世にあっても、キリスト信仰者にとっては緑の大地の道を進むようなもの」 私たちの父なる神と主イエス・キリストから恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 アーメン わたしたちの主イエス・キリストにあって兄弟姉妹でおられる皆様 1.はじめに […もっと見る]
  • スオミ教会・家庭料理クラブの報告
    今年最後の家庭料理クラブは12月13日に開催しました。今回はフィンランドのクリスマスの風味豊かなクリスマス・リース”Joulukranssi”とピパルカックを作りました。 […もっと見る]
  • 手芸クラブの報告
    12月の手芸クラブは3日に開催しました。その日は12月の初めにしては暖かい日でした。 今回の作品はフィンランドのクリスマス・オーナメント「オルキ・タハティ(藁の星)」です。材料はフィンランド直送の天然の藁です! […もっと見る]
  • 子どもの料理教室のご案内 12月20日10時30分~13時
  • 牧師の週報コラム
    宮沢賢治「雨ニモ負ケズ」 vs. パウロ「ローマの信徒への手紙」12章 なぜ「雨ニモ負ケズ」とローマ12章を突き合わせるのか?私の個人的な経験が絡む話なので、以下は一つの信仰の証しとしてお読み下さい。 […もっと見る]
  • 福音ルーテルスオミ・キリスト教会 クリスマスのご案内 2025年
  • 歳時記
    アンデレクロス(アンデレの十字架) 白州の我が家の上空は定期便の通い路らしく冬の晴れ渡った青空を西に向かって幾筋もの飛行機雲がその軌跡を残して行きます。今まさに一機の西行きの定期便が青空を切り裂いて真っ白な雲を曳きながら驀進しています。暫くすると青空には大きなXの字が浮かびあがりました、このXは清泉寮のアンデレ教会の十字架でもあります。アンデレは死してもなお大空にその軌跡を残したと想いに耽っていました。 […もっと見る]