宣教師のフィンランド便り5

8月7日、フィンランド南部のカルックの教会にてエッサイの堅信式が執り行われました。姉のヨハンナは3年前に行いました。
 
堅信式というのは、赤ちゃんや子供の時に洗礼を受けた者が成長した後、キリスト教の教義や信仰生活について学び、かつて受けた洗礼に含まれている神の愛と恵みを認識して、その信仰を携えて生きていくことを誓う儀式です。
 
フィンランドは国民の75%がルター派の国教会に所属し、その中学2年を終えた段階で堅信式を受けるのが伝統になっています。堅信式の前には国教会が行う準備教育があり、教会付属のキャンプ施設等で10日~2週間の合宿制で行われます。毎日、午前と午後に牧師や神学の専門家による授業があって、他にレクレーションの時間、「先輩」と呼ばれる年長者グループが生徒たちの話し相手になったり、夕べのプログラムを担当して、生徒たちをリードしていきます。今でもフィンランドでは国教会に所属する中学2年生の9割以上の生徒たちが参加します。
 
もちろん、堅信式が単なる通過儀礼化し、形式的なものになって、本当に信仰生活を送っているのか疑問を抱かせる人も多くいますが、教会側は「放蕩息子」を待つ父親のようにそうした人たちがいつでも教会とのつながりに戻れるように、いつも門を開いているという態勢でいます。
 
もちろん、堅信式をきっかけに牧師や宣教師を志したり、国教会やミッション団体で熱心に活動するようになる人も多く出ます。また、式を終えた生徒たちの多くが次年の「先輩」に志願します。
 
特別支援のエッサイには特別支援向けの準備教育もあるのですが、この度、運よくSLEY系のカルックの堅信式で、「先輩」の一人を個人的なサポーターにすることができ、インテグレーション合宿が実現しました。
 
最初に牧師先生から、生徒たちや「先輩」たちにダウン症候群について説明がなされ、皆の理解を得、こうして12日間の合宿と堅信式は、不思議な位わけ隔てのない自然な雰囲気の中で実施されました。途中に親の訪問日があって行ってみると、自由時間に他の生徒たちとふざけ合うエッサイを見て、「死から復活する者はみな天使のようになっている」(マルコ福音書12章15節のイエス様の言葉)という天の御国を予感したような気分になりました。本当に神から大きな祝福を受けられたと思います。
 
今年のカルックの堅信式のもう一つ特記すべきことは、国際色豊かだったことでした。15人の生徒のうち、片親が外国人の子供が3人(日本人、中国人、モロッコ人)、シリア人の子供、両親はフィンランド人だが家族は英国、ベルギー在住等々。数年前位には考えられないことです。今フィンランド社会が受けている変化の大きさを示す反面、堅信式そのものは「イエス・キリストは昨日も今日も永遠に変わることがない」(ヘブライ13章8節)ことを証ししていると言えます。
 
堅信式の礼拝にて、聖壇に向かう生徒たち
 
堅信式の後は、どの家庭でも親族を招いてお祝いの時が持たれます。エッサイのお祝いの場に牧師先生と「先輩」グループが駆けつけて、ゴスペルソングを歌ってくれました。
北国の夏は短く、8月に入ってもう秋の気配が濃厚になりました。麦畑も黄金色です。学校も北の地方から順次始まりました。エッサイの堅信式の後は、全国各地の教会や学校訪問が待っています。
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