2022年度のスオミ教会の年間聖句と主題

2月6日に開催された定期総会にて本年度のスオミ教会の年間聖句と主題が採択されました。

年間聖句 詩篇107篇30節「彼らは波が静まったので喜び祝い、望みの港に導かれて行った。」

年間主題 「イエス様と一緒に最終港を目指してこの世という海の航海を続けよう。」

この聖句と主題を提案した宣教師の提案趣旨は次の通りです。

主題の趣旨

Degerby教会の船の模型

昨年のフィンランド滞在中、VALLILAという繊維布地の会社の専門店に立ち寄りました。店内で最初に目に留まったのは、湖の向こうに沈みそうで沈まない白夜の夕日のデザインの布でした。「そのときは昼もなければ、夜もなく、夕べになっても光がある」という、復活の日を示唆するゼカリア書14章7節の聖句を思い出し、スオミ教会の会堂の壁に掛けるのにちょうど良いと思いました。もう一つの布にも目が留まりました。湖の上を走る船です。フィンランドの南西部にある教会は皆、会堂に大きな帆船の模型を天井から吊るして飾っています。それは、教会とは復活の日の神の御国を目指してこの世という海を進む船であるという意味を持ちます。キリスト信仰者はその乗員なのです。この布もスオミの会堂の壁を飾るのに相応しいと思い、最初どっちにしようか迷ったのですが、結局両方購入しました。今、会堂の壁にかかっています。

詩篇107篇を繙くと、イスラエルの民の苦難の歴史とその中で神の導きがあることが歌われます。苦難一つ一つについて、「苦難の中から主に助けを求めて叫ぶと主は彼らを苦しみから救って下さった」と民の祈りと神の応えが言われ、救出の後で「主に感謝せよ。主は慈しみ深く、人の子らに驚くべき御業を成し遂げられる」と民の感謝が続きます。同じフレーズが繰り返されます。

苦難のリストの最後は船出です。天地創造の神は嵐を起こされ、船は沈みそうになる。その時も同じ祈りと神の応えが唱えられます。そこで神が嵐を沈黙させて波はおさまる。「彼らは波が静まったので喜び祝い、望みの港に導かれて行った。」そして、同じ感謝で締めくくられます。

苦難の遭遇とそこからの救出の繰り返しは私たちの人生にも当てはまります。青空のもと追い風に乗って進む時と雨風に晒され波に揉まれる時そして港で一息つく時とまた出発する時。その繰り返しです。しかし、キリスト信仰者には、この繰り返しが終了してもう出発しなくていいという永遠の安息の最終港があります。復活の日の神の御国です。(新共同訳では「望みの港」ですが、ヘブライ語では「喜びの港」です。)

詩篇には言われていませんが、キリスト信仰ではイエス様という私たちの船旅の同行者がおられます。マタイ28章20節で復活の主が言われます。「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる。」マルコ4章等でイエス様が弟子たちとガリラヤ湖を舟で渡った時、嵐が起きて舟が沈みそうになり、それを静める奇跡を起こして皆が対岸に無事に着くことができたという出来事があります。この奇跡は、詩篇で言われていることは単なる文章ではなく本当に起こるということを示すものでした。イエス様と一緒に航海していれば、嵐に遭遇して慌てふためくことがあっても最後は必ず港に導いてもらえ、最後の最後は復活の日の神の御国という港に到着することが出来るのです。時には、イエス様は眠って何もしてくれないように思える時もあるかもしれませんが、イエス様は必ず起きて助け導いて下さることをガリラヤ湖の奇跡で示したのです。

この2022年、今度こそコロナが終息するという期待が高まりますが、ひょっとしたらまだ続いてしまうのではという疑いと心配もあります。いずれにしても空模様・海模様がどんなものであれイエス様と共にする航海を続けていくことには変わりません。この1年も主が共におられる舟/船に乗っていることを忘れないように礼拝に繋がり御言葉に留まっていきましょう。

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