フィンランドの「全聖徒の日(Pyhien Päivä)」について - スオミ教会の2021年の全聖徒主日(11月7日)の礼拝の初めの言葉として

フィンランドでは11月の最初の土曜日は「全聖徒の日」という国の祝日です。キリスト教の伝統に基づく祝日です。 キリスト教会では古くから11月1日をキリスト信仰のゆえに命を落とした殉教者を「聖徒」とか「聖人」と称して覚える日としてきました。加えて11月2日をキリスト信仰を抱いて亡くなった人を覚える日としてきました。フィンランドのルター派国教会では11月最初の土曜日が「全聖徒の日」と定められ、殉教者と信仰者双方を覚える日となっています。今年は昨日11月6日でした。

その日フィンランド人は何をするかと言うと、大方の人は教会の墓地にロウソクを持って行って火を灯します。風で消えないようにガラスの瓶に入っているロウソクです。日本ではお墓に花や何か贈り物を持っていくことを「供える」とか「供え物」と言います。フィンランドでも墓に花を飾るので、ああ、キリスト教徒も供え物をするんだな、と日本人は考えます。宗教は違っても人間の思いは同じなんだな、と。確かに表面上はそう見えますが、実はフィンランド人には「供える」という意識も感覚もありません。ただ飾るだけです。墓の前で手を合わせることもしないし、拝んだり、何かを唱えたり、または見えない誰かに何かを呟くこともしません。墓はあくまで家族の記念碑のようなものです。表面上の類似性の下には途方もない違いがあるのです。

rousokuどうしてそうなのかについては後ほどの説教の中でお話しします。

「全聖徒の日」にフィンランド全国の教会墓地は全てと言っていいほど墓の前にロウソクが灯されます。白夜の季節が終わった暗い晩秋の闇の中に浮かび上がる無数のともし火は、あたかも黙示録7章に登場する「白い衣を着けた大群衆」を思い起こさせます。これから歌います教会讃美歌496番「白雪おおえる」は、まさにその白く輝く大群衆について歌うものです。北欧ノルウェーの讃美歌で作曲家グリーグの編曲によるものです。

新規の投稿
  • 2025年10月12日(日)聖霊降臨後第18主日 礼拝 説教 吉村博明 牧師
    主日礼拝説教 2025年10月12日(聖霊降臨後第18主日)スオミ教会 列王記下5章1~3、7~15b節 第二テモテ2章1~15節 ルカ17章11~19節 説教題 「いつどこででも主なる神に感謝するのは当然であり相応しい」 私たちの父なる神と主イエス・キリストから恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 アーメン […もっと見る]
  • 子どもの料理教室のご案内 11月1日 10時30分~13時
  • スオミ教会 手芸クラブのご案内
    次回は10月29日(水)10時~13時に開催します。 フィンランド風の刺繍を作ってみませんか。 次の手芸クラブは、前回に続いて刺繡はフィンランド風の刺繡をします。 刺繡はフィンランドでは何世紀にもわたって親しまれている手芸の一つです。今でも多くの人気があります。小さなクロスステッチで作った花などの模様は服やインテリアに可愛らしい趣きを増やします。 […もっと見る]
  • フィンランド家庭料理クラブの報告
    秋の最初のフィンランド家庭料理クラブは10月11日に開催しました。小雨がぱらつく一日でしたが、教会の中は爽やかで明るい雰囲気でした。今回はこの季節にフィンランドの家庭でよく作られるリンゴ・ケーキを作りました。 […もっと見る]
  • 牧師の週報コラム
    ルターによる御言葉の説き明かし ― フィンランドの聖書日課「神の子らへのマンナ」10月9日の日課から 「ところで、今はあなたがたも、悲しんでいる。しかし、わたしは再びあなたがたと会い、あなたがたは心から喜ぶことになる。」 最後の晩餐の席で主イエスが弟子たちに述べた言葉から(ヨハネ16章22節) […もっと見る]
  • 歳時記
    萩(Hagi) <風は思いのままに吹く。あなたはその音を聞くが、それがどこからきて、どこへ行くかは知らない。霊から生れる者もみな、それと同じである」 ヨハネ3:8> […もっと見る]