牧師の週報コラム 

ルターによる御言葉の説き明かし ― フィンランドの聖書日課「神の子らへのマンナ」9月29日の日課から

「見よ、わたしはあなたと共にいる。あなたがどこへ行っても、わたしはあなたを守り、必ずこの土地に連れ帰る。わたしは、あなたに約束したことを果たすまで決して見捨てない。」 創世記28章15節

この神自身が語られ、ヤコブを祝福した御言葉から、我々は目には見えない形で彼がいかなる状態にあったかがわかるのである。神は意味のないことをだらだら口にするおしゃべり屋ではない。ヤコブは酷い苦境に立たされていた。兄が命を狙っていると知るや否や、彼は泥棒のように逃げ去らなければならなかった。まさにこのような危険の中でどこからも助けが来ない状態にあった時、神は共にいて助け守って下さると約束されたのだ。

この出来事が記録されているのは、神はご自分に属する者たちを決して見捨てないということを我々が確信できるためなのである。たとえ全世界が我々に立ち向かって来ようとも、神は共にいて我々を守って下さるのだ。たとえ全てが万事休すでもう沈没するしかないと思われる状態にあっても、神は共におられ、一瞬のうちに我々を危機から掴み出して下さるのだ。それならば、神はもっと早く助けて下さってもよいのではないか、なぜ直ぐ助けて下さらないのか、という疑問が生じるだろう。それは、助けが絶体絶命の時であればあるほど、神は死から救って下さるという恵みと業と言葉は我々にとって身近な真実になり、その通りだと証言できるようになるためなのである。このことは自分で経験しない限り、誰も信じることは出来ない。この神がどんな状況でも共にいて助けて下さるという希望の励ましは誰もが受けられるものではない。全ての被造物から見捨てられ、神以外には助けてくれるものは誰もいないという状況に置かれた時に受けられるのだ。

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