宣教師の週報コラム  「フィンランドのラスキアイスプッラ」


かつてキリスト教会では復活祭/イースターの前の40日は断食するという伝統がありました。 イエス様が40日間荒野で悪魔から試練を受けた際、飲まず食わずだったことに由来します。40日の数え方は、間にある6回の主日は断食日に数えないので、断食期間の開始はその分繰り上がり、復活祭の前7週目の水曜日となりました。今年は先週2月22日の水曜日でした。

 この断食の期間は教会のカレンダーでは「四旬節」とか「受難節」と呼ばれます。英語では「レント」です。面白いことにフィンランドやスウェーデンでは今でも文字通り「断食の期間」という言葉を用います。もちろん、両国ともルター派教会が主流の国なので、何か修行や業を積んで神に目をかけてもらって救いを頂くというような考えは全くありません。ルター派の基本は、人間の救いとはイエス様を救い主と信じる信仰にのみ基づくというものだからです。カトリック時代の呼び方がそのまま今も続いているだけということです。それでも、イエス様の受難を身近に感じることは大事なことと考えられています。それで信仰ある人の中には、この期間は嗜好物を遠ざけたり好きなテレビ番組をみないようにする人もいます(若者の中にはSNSを止めるという人も)。もちろん、これらはルター派の基本を確認した上でのことです。

 フィンランドやスウェーデンでは、「断食の期間」に入る1カ月位前から、ラスキアイスプッラ/セムラと呼ばれる菓子パンが全国どこででも、パン屋さんでもスーパーでも喫茶店でも並びます。当教会の料理クラブでも作ったことがあるそうですが、これは「断食の期間」の前に少し贅沢に美味しいものを頂いて、あとは厳粛に過ごそうという趣旨のものだそうです。それで、「断食の期間」が始まると、店頭からパタッと姿を消します(ただし、私たちがいた十何年前のこと。教会離れ聖書離れが進む今はどうでしょうか?)

 見かけはハンバーガーに生クリームを挟んだみたいな何の変哲もない菓子パンですが、カルダモン風味の焼きパンと潰しアーモンドの砂糖漬けを添えた生クリームのコンビネーションは絶妙で食する人はきっと天国の味を賞味した気分に浸るでしょう(だなんて、まるでテレビの飲食店の紹介番組みたい)。断食が終わった復活祭には、パシャやマンミというデザートが待っています。これらについてはまた機会を改めてということで。

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